エングレービング職人、エナメル職人、ギヨシェ職人といったヴァシュロン・コンスタンタンを支える熟練の職人たちが誇るノウハウを称える「トゥール・ド・リルへ敬意を表して」は、メゾンの職人技、文化、芸術に対する変わらぬ責任を体現しています。メティエ・ダール工房は、稀少で歴史的な装飾技巧を保存し、その発展を促進し、世代を超えて遺産が受け継がれるために設けられ、そうでなければ絶えていたかもしれないこれらの工芸を庇護する場所となっているのです。
ジュネーブの精神を捉えた「トゥール・ド・リルへ敬意を表して」の3部作は、歴史的な石版印刷(リトグラフ)から着想を得てヴァシュロン・コンスタンタンのデザイナーが新たな解釈を添えた塔の姿が描かれています。直径33.6mmに縮小されながらも、原画のすべての詳細に忠実に、職人の手により巧みに施された複数の芸術的な手仕事を堪能いただける緻密なダイヤルです。1つ目のモデルでは、パステルカラーのグラン・フー・エナメルのミニアチュール・ペイントダイヤルを備え、プラチナ950製ケースと完璧な調和をもたらしています。同じくプラチナ製ケースに収められた2つ目のモデルは、ギヨシェ彫りとグラン・フー・エナメルという非常に独創的な組み合わせを特徴としています。3つ目のモデルは、繊細に彫金された18Kピンクゴールド製ダイヤルが、そのピンクゴールド製ケースと見事に融合しています。
新作「トゥール・ド・リルへ敬意を表して」のユニークピースは、ダイヤルの芸術的な美しさを際立たせるため、時分のシンプルな表示を選びました。直径40mm、厚さ9.42mmのケースは、270年にわたりメゾンを特徴づけてきた控えめなエレガンスを見事に体現しています。時計裏側のオフィサースタイルのケースバックでは、サファイアクリスタルのシースルーケースバックを通してムーブメントの美しさが鑑賞できます。
自社製自動巻きキャリバー2460のエレガントな機構は、啓蒙時代から受け継がれてきた高級時計製造の伝統に沿った、最上の仕上げにより際立ちます。ペルラージュ、コート・ド・ジュネーブの仕上げが施されたブリッジは、手作業で施されたギヨシェ彫りが18Kピンクゴールド製ローターと美しい調和を取っています。それぞれのモデルは、時計製造の優れた技巧を証明するために、ジュネーブ州内でタイムピースが製作されたことを保証する卓越性の証、Poinçon de Genève(ジュネーブ・シール)が刻印されます。
また、各モデルのケースバックのベゼルには、創業270周年を祝うエンブレムが刻まれています。レ・キャビノティエ工房が製作するすべてのユニークピースと同様に、ケースバックには≪Pièce unique≫、≪Les Cabinotiers≫の文字と≪AC≫(Atelier Cabinotiers / キャビノティエ工房)の刻印があります。
ユニークピースの製作を専門とするレ・キャビノティエ部門は、ヴァシュロン・コンスタンタンの絶え間ない卓越性への追求の最高の表現と言えるでしょう。優れた技巧をもつ男女の時計師から成るレ・キャビノティエ部門のチームは、新しい技術的アイデアを開発し、装飾工芸技術を新たな方向性で探求し、ユニークピースの自由な創作を行います。
レ・キャビノティエ部門は、18世紀の先代たちからの伝統と遺産を継承させながら、技術革新と時計製造の可能性を絶えず押し広げるヴァシュロン・コンスタンタンの精神を体現しているのです。グランドコンプリケーションを搭載しているタイムピースであれ、芸術的表現に重きを置いたタイムピースであれ、レ・キャビノティエ部門の熟練時計師と職人たちは、時計製造全体の前進に貢献するタイムピースを創作し続けているのです。
「レ・キャビノティエ」という名称は、18世紀のジュネーブの最も優秀な職人たち(時計師、彫金師、エナメル師、ジュエラー、宝石細工師など)が、最良の自然光が最も長く入る建物の上部階に位置したキャビネットで知られる工房で彼らが作業していたことから由来します。
過去と未来の
時計コピー製造を繋ぐ「トゥール・ド・リルへ敬意を表して」の3部作は、このジュネーブの歴史的な建物から着想を得た、ヴァシュロン・コンスタンタンの数々の輝かしい伝統と遺産を受け継いでいます。ケースが彫金された1920年代の懐中時計シリーズ、エナメルが施されたケースを備える1994年の懐中時計、そして、2005年にメゾンの創業250周年を記念して発表した、16の複雑機能を備え、当時最も複雑な腕時計であった著名な「トゥール・ド・リル」が含まれます。
プラチナ950製ケースにグラン・フー・エナメルのダイヤルを備えたこのタイムピースには、ジャン・デュボワ(1789年-1849年)が描き、スペングラー社(Spengler & Cie)が印刷した石版印刷に新たな解釈を添えたミニアチュール・エナメルペイントが施されています。詳細豊かに描かれたベル・エール広場を前にする塔の外観を捉え、単色の原画に忠実に、パステル色調のエナメルで表現しています。
18世紀からジュネーブで発展したミニアチュール・エナメルの技法を使い、ダイヤルは職人が緻密な手作業に1カ月という時間を費やし完成させました。最初に直面した挑戦は色合いの顔料(焼成の際、頻繁に予期せぬ変化がある)のテストで、完成した作品の色合いをデザイナーが思い描いたものに可能な限り近づけるために行いました。
エナメル技術は、非常に厳格な工程からなり、18Kホワイトゴールド製ダイヤルに白いエナメル(釉薬)の下地を施し、完璧に滑らかな表面を作ることからはじまります。その後、極細の筆を用いて、何層にもわたって絵を描きます。最後に、熟練エナメル職人は、数層の透明なエナメルを施し、作品を保護するとともに光沢と深みを与えます。このきわめて繊細な工程を通して、それぞれの層は次の層を施す前に摂氏800度以上で焼成します。これらの焼成工程は、重要で巧みな熟練を必要とし、最適な温度を維持するために細心の注意が払われ、気泡やひび、エナメルの収縮または変色を防ぎます。